はじめに
高大接続改革が現在文科省主導で進められています。
そもそも高大接続とは?なぜ高校と大学を接続?という方は以下の記事をご参照ください。
今回は、その進められている改革の目標と現況について記事にしていこうと思います。
高大接続改革で育成する能力:学力の3要素
学力の3要素とは、以下のものになります。
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力
- 主体性・多様性・協調性
(それぞれの詳しい説明については後日書きますネ。)
この、学力の三要素を社会に出るまでに身につけるような教育にすることが、高大接続改革の目標です。
このことを前提に、文科省はそれぞれの改革の目的を以下のように整理しています。
- 高等学校教育改革の目的
<「学力の3要素」の確実な育成> - 大学入学者選抜改革の目的
<「学力の3要素」の多面的・総合的評価>
- 大学教育改革の目的
<「学力の3要素」のさらなる伸長>
それでは、それぞれの改革の現状を見ていきましょう。
高等学校教育改革の内容
目的:<「学力の3要素」の確実な育成>
高等学校教育改革の主な取り組みは3つあります。
- 教育過程の見直し
- 学習・指導方法の改善と教師の指導力の向上
- 多面的な評価の推進
1.教育過程の見直し
こちらについては、学習指導要領の変更があたります。
以下の記事で解説していますので、ご参照ください!
2.学習・指導方法の改善と教師の指導力の向上
こちらについても、学習指導要領の変更のことを指しており、アクティブラーニングの取り組みが重視されるようになっています。
また、教育公務員特例法(先生の任命、免職、給与、地位、懲戒、服務及び研修等について定めた法律)の変更に伴い、先生の研修の充実化がなされました。
3.多面的な評価の推進
「高校生のための学びの基礎診断」の導入がされました。
文科省によると、「高校生のための学びの基礎診断」とは、英数国の基礎能力を測る外部テストを学校側で実施して、生徒の現在の能力を測るものになります。
目的は、「高校生に求められる基礎学力の確実な習得」と「学習意欲を喚起」させることで、生徒自身の基礎学力定着を促進する とのこと。
こちらについては、以下の記事で詳しく述べています。
大学入学者選抜改革の内容
目的:<「学力の3要素」の多面的・総合的評価>
大学入学者選抜改革の主な取り組みは2つです。
- 「大学入学共通テスト」の導入
- 個別入学者選抜の改革
1.「大学入学共通テスト」の導入
こちらについては、よく聞くことだと思います。
「学力の3要素」のなかでも、特に思考力・判断力・表現力の3つをより重視して評価できるように、センター試験に代わり「大学入学共通テスト」を導入します。
英語では外部試験を導入したり、「国語」「数学」では記述式の問題を導入したりします。
2.個別入学者選抜の改革
こちらは主にAO・推薦入試の改革になりますが、一部一般入試にも影響が出ます。
まず、AO入試・推薦入試において、小論文、プレゼンテーション、教科・科目に係るテスト、共通テスト等のうち、いずれかの活用を必須化されます。
次に「調査書」(「内申書」とも呼ばれます。)の重視化。
「調査書」とは在校生または卒業生の学習態度や学校生活について先生が記述した文章のことで、大学入試における参考資料のひとつです。
AOや推薦では重視されてきましたが、一般入試では今まで重視されてきませんでした。
しかし、今回の改革に伴い、「学力の3要素」の主体性・多様性・協調性を評価するためには必須であるとし、文科省から「調査書」の充実化が高校側に求められています。
(先生も大変だ・・・。)
その他には、これまでルールがなかったAOと推薦の出願時期・合格発表時期について、
- 出願時期をAO入試は8月以降から9月以降に変更。
- 合格発表時期をAO入試は11月以降、推薦入試は12月以降に設定
というルールが付け加わりました。
※早期合格による高校生の学習意欲低下を防ぐため。
大学入試改革については、以下の記事でまとめているので、ぜひご参照ください!
大学教育改革の内容
目的:<「学力の3要素」のさらなる伸長>
大学教育改革の内容は主に2つにまとめられます。
- 「三つの方針」に基づく大学教育の質的転換
- 認証評価制度の改善
1.「三つの方針」に基づく大学教育の質的変換
この「三つの方針」とは
1卒業認定・学位授与の方針、2教育課程編成・実施の方針、3入学者受入れの方針の三つになります。
「『三つの方針』の基づく大学教育の質的変換」というとなんか仰々しいですが、簡単に言うと、三つの方針をもっと明確化するということです。
1.卒業するための条件を明確化(=「建学の理念」に基づき、社会に送り出したい人材の明確化)し、それを実現するために2.教育内容・評価項目の明確化、そして、3.1を実現しうる人材を入学させるための条件を明確化となります。
2.認証評価制度の改善
認証評価とは、大学の研究・教育が適切に行われているかをチェックするために、大学が自己点検・評価を行い、その後、第三者(文科省より評価機関として定められている組織)が検証するという制度です。
この検証する内容が変わるのが、認証評価制度の改善ということになります。
主な変更点としては、
- 「三つの方針」の実現可能性を高めるための活動を重視化。
- 各大学が自律的に改革できるような体制の重視化。
- 評価の質を高めるために、評価機関は高校・企業・自治体・学生などから意見を集めたり、評価自体の見直しを義務化。
などがあります。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
高大接続改革の内容につきまして、大枠ではありますが理解いただけたでしょうか。
こう見るとなぜ高校がこのように動いている、大学がこのように動いている等わかってきますね。