コロナウイルスの影響で、多くの学校が休校を余儀なくされています。
最初の数日は、学校が休みだと浮かれていた子ども達も、数か月に及ぶ休校に、不安の色を見せ始めています。
保護者の方においては、お子様に対し「精神面」と「学習面」の両面からのフォローが求められるようになってきました。
そんな中、ここでは「学習面のフォロー」について、文科省の公式発表を引用しながら考えていきたいと思います。
文部科学省からの公式発表の確認全国学力・学習状況テストについて
全国学力・学習状況テストとは、日本全国の小学6年生、中学3年生を対象とした学力テストのことです。「全国学力テスト」と呼ばれることが多く、2007年から毎年4月に行われています。
全国学力・学習状況調査については、(中略)状況を踏まえ検討した結果、令和2年度は実施しないことといたします。
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月17日)より https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00054.html
文科省は記者会見にて、令和2年度の全国学力・学習状況調査を行わないということを明言しました。
最初は延期といった様子でしたが、教育委員会をはじめ各所からの中止を求める声に応じ、決断したとのことです。
また、使用する予定だったテストに関しては、学校や各自治体に引き渡すとのこと。
使用する予定であった調査問題は、各自治体や学校の判断で有効に活用していただけるように、後日、各学校に送付することとさせていただきたい
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月17日)より https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00054.html
なお、配布の時期などはまだ発表されていません。
そのため、小学6年生、中学3年生の対象学年の生徒に対し、このテストがどのように扱われるのかなどはまだ不明です。
夏休みについて
まず、今年度入学した(進学し、学校が変わった)生徒の学習に対する措置の概要から確認します。
進学先の学校においては、(中略)必要に応じて補充的な学習などの個に応じた指導や教育課程に位置付けない補習を行う、追加の家庭学習を適切に課す等の配慮が考えられます。
新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(4月23日時点)より
https://www.mext.go.jp/content/20200423-mxt_kouhou01-000006270_1.pdf
つまり、「生徒(学校)によって、恐らく学習内容にバラつきがあるので、生徒に合わせて対応してください。
フォローは補習ではなく、宿題にしても良いですよ。」という内容です。
それから、今年度進級した(学校が変わらない)生徒の学習に対する措置も見ておきましょう。
児童生徒の学習に著しい遅れが生じることのないよう、必要に応じて、令和2年度に教育課程内で補充のための授業として前学年の未指導分の授業を行うことも考えられます。その場合において、標準授業時数を超えて授業時数を確保する必要は必ずしもなく、 各学校において弾力的に対処いただくことが可能です。
新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(4月23日時点)より https://www.mext.go.jp/content/20200423-mxt_kouhou01-000006270_1.pdf
こちらも、「前学年の学習のために授業数を増やす必要があるのか、よく見極めましょう。」といった内容です。
このことから、文科省としては、「授業数を増やしたり、補講を追加することによって、生徒の学習を補う」という姿勢が見えません。
これは、「出来るだけ各自で頑張ってください。」と言われているようにも感じられます。
以上を踏まえ、夏休みはどうなるのかについて、公式の発表を引用します。
児童生徒や教職員の負担にも配慮した上で、各設置者等の判断で、補充のための授業を行うために長期休業期間を短縮したり土曜日に授業を行ったりすることは可能です。
新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等に関するQ&Aの送付について(4月23日時点)より
https://www.mext.go.jp/content/20200423-mxt_kouhou01-000006270_1.pdf
ここで話されている「長期休業期間」というのが夏休みを指します。
つまり、「夏休みや土曜日に授業を入れるのであれば、各自治体の判断に任せますよ。」ということになります。
今現在の発表では、夏休みの短縮、あるいは消滅のほか、土曜日に授業が入るということも十分に考えられます。
入試について
大学入試については、まだ不透明なところが多く残っています。
内容も、文科省から大学へお願いするというような内容にとどまり、断定的なものはまだありません。
大学入試の選抜については、(中略)特に9月以降に出願が始まるAO入試や11月以降に出願が始まる推薦入試において、受験生が大きな影響を受けることが予想されます。 このため、中止・延期となった各種競技大会ですとか、文化活動等に参加できなかったことや、あるいは出席日数や特別活動等の記録が少ないことをもって、高校における部活動等の諸活動の実績の評価や調査書において特定の受験生が不利益を被ることがないように、各大学に対して配慮いただきたい点など、高校・大学関係者等と相談しながら速やかに検討したいと考えております
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月17日)よりhttps://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00054.html
簡単にまとめると、「AO入試や推薦入試では、特に難しい判断がされると思われるので、各大学にはコロナの影響を考慮するようにお願いしている」ということになります。
推薦入試では、高校の成績(評定平均)や、校内選考の突破などが重要になるため、普段のテストが大変に影響します。
AO入試では、部活動の成績などが重要な判断材料となるため、大会の中止がそのまま入試の合否に影響しかねません。
そのことから、文科省は様々な対策を検討中とのことです。
まだ省内でまとめたわけじゃございませんけど、私、私案として、当局の方にはですね、少しAOやあるいは推薦入試の募集の時期を遅らせる必要があるという問題意識を伝えたところでございます。(中略)従来通りのスケジュールで入試をやることが本当に子供たちにとって、あるいは学校にとってもいいことなのかっていうのは一緒に考えていただきたいなと思います。
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月17日)より https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00054.html
しかし、こちらも「私案として」とのことなので、詳細はこれから決定していくのだろうと思います。
現在は、ハイペースで各事項の決定、追加案などが発表されていますので、文科省の今後の発表には引き続き注目していきましょう。
学習進度が遅れる事により考えられるリスクと対応策
ここでは、小中高校生ごとにコロナウイルスによる休校の影響と対応策について記載していきます。
ぜひお子様の対応についてご検討する際に、ご参考にしていただければと思います。
小学生にとってのリスクと対応策
小学校が休校することによって、小学生にはどのようなリスクが考えられるのでしょうか。
また、そのリスクにはどのような対応策が効果的なのでしょうか。 以下に具体的に執筆していきます。
考えられるリスク
小学生の場合、国語と英語に関しては大きな影響はないと思われますが、算数、理科、社会は中学生の学習基盤が不安定になってしまう可能性があります。
国語と英語は、小学生では「言葉に触れる」ような学習が中心となっているため、中学生でしっかり学習できれば、大きな差は生まれにくいです。
もちろん、漢字や単語を小学生のうちから多く覚えていることで有利になることはありますが、学習のメインは「読んでみよう、気持ちを考えよう、話してみよう」といったもので、文法などには深く触れないからです。
一方、算数や理科、社会に関しては、小学生の知識が中学生の学習の基礎となります。
小学生で学習する分数の計算ができなければ、中学生の複雑な文章問題は決して解けませんし、理科や社会でザックリ学んだ知識を、中学生で深く学習していくような流れになっているからです。
なので、この3科目は休校中の学習のフォローが必要になると思います。
言い換えると、算数、理科、社会の3科目だけは、今しっかり学習しておくべきです。
小学生が取るべき対応
小学生では、漢字ドリルによって、習っていない漢字の予習は容易でしょう。
また、計算ドリルでは、今まで習った計算方法を忘れないようにする、というフォローが可能です。
しかし、理科や社会、未学習の算数などは、どうしても説明が必要になります。
理科、社会、算数の3科目は、中学生にも直結する重要な科目であることは先に述べましたね。
ご家庭で、学習をフォローするお時間が取れない場合には、この3科目だけでもいいのでオンライン学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。
以下に小学生向けのオンラインの塾を比較しておりますので、ぜひご参照ください!
中学生にとってのリスクと対応策
中学校が休校となり、部活動も中止となっている今、中学生に起こり得るリスクも考えてみます。
また、ご家庭でも取り組みやすい効果的な対応策についても、具体的にお話します。
中学生の勉強で考えられるリスク
中学生では、勉強が得意な子と苦手な子で、ハッキリと成績が分かれていくというリスクが考えられます。
中学生になると、小学生と比べ学習進度が早くなり、さらに定期テストが行われるようになります。
定期テストは、小学生のテストとは比較にならないほど重要な意味を持ちます。
中学生の定期テストは、そのまま成績の判断材料になってしまうからです。
そして、中学生の成績は、そのまま高校入試に影響します。
高校受験の時に中学3年生の成績だけを見る場合もありますが、中学1年生の成績から関係する場合もあるので、最初から気が抜けません。
今現在は、定期テストの実施について文科省から明確な発表がなく、学校によっては登校が再開されたときに実施してしまう可能性があります。
学校の先生も、成績をつけるための判断材料が欲しいので、できればテストを実施したいところでしょう。
そのため、休校中の学習が重要です。
学校によって宿題が課されている場合もありますが、基本的には「教科書を見て、予習しておいて」というもの。
これでは、もともと勉強が苦手だったお子様は、さらに苦手になってしまうでしょう。
反対に、勉強が好きな子からすれば、休校中には部活もなく、たっぷり勉強できるので、学校に通うよりも効率良く学べるかもしれません。
このことから、特に勉強が苦手な子は、休校中にしっかり学習できていないと高校入試にまで影響してしまう可能性があります。
中学生がとるべき対応
中学生では、勉強が好きなお子様の場合、教科書さえあれば問題ないでしょう。
勉強が好きな子は、教科書の説明だけで十分理解できます。
しかし、勉強が苦手なお子様の場合は、教科書を読んでも理解できないことがあります。
教科書のような言葉、表現ではなく、もっとかみ砕いた、わかりやすい説明が必要になります。
その場合、オンライン学習は大いに役立つはずです。
そして、勉強が苦手なお子様であれば、登校が再開された後でも、オンライン学習でのフォローが役に立つでしょう。
以下に中学生向けのオンラインの塾を比較していますので、ぜひご参照ください!
高校生にとってのリスクと対応策
高校の休校は、高校生にとって大きなリスクを伴います。
特に受験生にとっては、この時期の長い休校は大変リスキーな事態です。
ご家庭でぜひ実践して欲しい、リスクへの対応策についても、以下に具体的に執筆していきます。
考えられるリスク
高校生、特に受験生は大変になるでしょう。
推薦入試でも、AO入試でも、一般入試でも、進学を考えているお子様にとっては厳しい状況です。
受験生であれば、休校中の対策は必須です。
高校生の学習進度は、中学生よりさらに早くなることに加え、保護者の方が簡単にフォローできないというのも難点です。
ハッキリ言って、高校生の勉強になると難しいです。
そんな中、やはり重要になるのは定期テストの存在です。
難しくても、学校が休校になっても、補講を入れてもらう前でも、恐らく定期テストは実施されるでしょう。
高校によって、中学校よりも幅広い対応が考えられますが、進学校であればほぼ100%の確率で再登校が始まってからテストを行うはずです。
高校生の定期テストは、中学生のテストよりもずっと大きな役割があります。
特に、大学や短大を推薦入試で考えていたり、奨学金を狙っている場合には大変重要です。
定期テストの点数が、評定平均に大きく関わるからです。
評定平均は高校3年生の1学期までで計算されるので、まさに今が重要な時期ですね。
もちろん一般入試を考えている場合にも、普段の授業が大切になることはいうまでもありません。
そして、AO入試を狙っている場合には、今年のインターハイが中止になったこともあり、より小論文などに重きが置かれる可能性があります。
文科省としては、インターハイに変わる何かを、と模索しているようですが、まだ明確に対応が決まっているわけではないので、今から筆記試験に十分対応できるよう対策をしておく方が良さそうです。
高校生が取るべき対応策
高校生では、オンライン学習を導入している学校も多いですね。
高校生にもなると、ご家庭での学習のフォローが困難です。
専門知識が必要になる場合や、シンプルに難しい問題が増えるからです。
塾や予備校も休校が相次ぎ、今後の見通しも不確かな中、今確実に勉強できるのは、やはりオンライン学習でしょう。
まだ学校として導入されていないようであれば、1日も早く導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。
さいごに
休校中のお子様の学習について心配されている保護者の方は多くいらっしゃると思います。
そんな不安も、オンライン学習を取り入れてみれば解消できるかもしれません。
各学年のお子様の対応策でもおすすめしましたが、オンライン学習が広く認知され普及しているのは、優れたシステムだからこそです。
学校によっては、すでにオンライン学習システムを積極的に導入し、活用しているところもあります。
学校がオンライン学習を活用しているということは、今やオンライン学習は「学習に関するプロが認めた学習法」ということになります。
しかし、公立の小中学校では、オンライン学習システムの導入が遅れ、今後もすぐに対応するのは難しそうです。
ご家庭により、ネット環境にバラつきがあるというのが1つの要因です。
そのため、文科省ならびに政府の対応を待つのではなく、もしネット環境が整っているのであれば、ご家庭ごとに積極的にオンライン学習システムを利用することをおすすめします。
文科省の対応を見ていても、自分の身は自分で守る、という姿勢が重要になると感じます。
いくら休校中の学習のフォローを考えていると言っても、休校だったから全員良い成績にする、全員合格にする、なんてことはあり得ないのです。
こんな時だからこそ、誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、自ら行動し戦っていかねばならないのだろうと思います。
後悔のないよう、様々な角度から物事を見て、メリットの多い選択をしていきましょう。